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(5)川や森を地域主導でどう管理するか?チェンマイセミナーより


(4)より続き

タイでは、かつての独裁政権や現在も残る
強い中央集権への反省として、地方分権の動きがあります。
市民、住民サイドからも、地方分権や地方自治を求める声があり、
政府側も、一応地方分権を推奨しているそう。

タイの県知事は、選挙で選ばれた人ではなく中央政府派遣の官僚だし
前・タクシン政権時代は、地方分権が進んでいた一面もあったけど、
タイでは、地方分権と中央集権の動きとが、政権によって拮抗することも。


今回会議の開かれたチェンマイ周辺の北部タイは、
天然資源管理の地方分権化の動きが進んでいる先駆的地域。

今回チェンマイで開かれた分科会・会議は、
地方行政機関である「オーボートー」(※1)と、
「コディ」(コミュニティ組織開発機構)(※2)がこれまで取り組んできた、
北タイでの森林など天然資源利用実態や、地域での自主管理へ向けた
要望などの調査プロジェクトの、最終とりまとめの場も兼ねていました。

官民で協力し、天然資源管理の決定権を
中央政府から地方へと移譲するための法制度を作っているところで、
今回の北部タイの取組みが実際に法制度化されれば、
タイ国内初の事例になるのだそう。

参加した各地のオーボートーやNGO関係者からも、
熱心な発言や質疑が多く聞かれました。

(5)川や森を地域主導でどう管理するか?チェンマイセミナーより_b0125397_11221023.jpg


フリーランスの研究者が、意見集約をサポート。
模造紙の上に、参加者の意見が整理されていきました。

(5)川や森を地域主導でどう管理するか?チェンマイセミナーより_b0125397_10365690.jpg


今後は、オーボートーとコディが中央政府との間で、
調査結果と意見集約結果に基づいて、
具体的に制度づくりへと動き出す予定とのこと。
楽しみです。


* * *

同じく、日本でも地方への河川管理権限移譲の動きがあります。

日本の河川は、
支流を含む流域の管理主体によって一級から三級に分かれ、
一級河川は国交省が直轄管理。

吉野川河口堰や各地のダムなど、
近年の無駄な公共事業の見直しや、環境社会配慮の必要性、
住民主体型川づくりの必要性の意識の高まりに伴って、
一級河川であっても、県や自治体など、
地方へ実体的な管理主体の移譲を求める声が高まっています。

中央集権型の近代河川工学による河川管理の限界や、
公共政策への住民参加の必要性の認識の高まり等も背景にあります。

2007年には、吉野川で
「川を流域住民(あなた)が取りもどすための全国シンポジウム」が開催され、
私も参加してきましたが、
吉野川や川辺川など各地の事例や報告を通して、
非常に興味深い議論が行われました。
参加されていた、嘉田滋賀県知事からは、
政策決定権の移譲と共に、
技術者や予算の権利移譲の必要性も提議されました。

シンポジウムのプログラム こちら

吉野川において、河口堰問題だけに留まらずに、
地方にとって「川」という公共財産は何なのか、
私たちはどう考え、川と付き合っていくべきかを見つめる動きへと
つながって行ったことには、多くを考えさせられます。

川辺川・球磨川沿いにも、
数百年、数千年に渡り、川と共に暮らしてきた
生活の記憶があるはずで、
タイから帰ったら、そういったものを消えてゆく前に書き留め、
ダム問題だけにとどまらない視点で、
川を見つめられたらと思います。

(昨年、吉野川を契機として、
「川」と地域の在り方を社会に広く問いかけ、
歴史の新しいページを切り拓いてきた、吉野川みんなの会の
姫野雅義さんが急逝されました。
多くのことを教えて下さった方でした。
ご冥福を心よりお祈り致します。)




※1 オーボートー
・・・「オンカーン・ボーリハット・スワン・タンボーン」
(タンボーン行政自治体)の頭文字を取って、「オー」「ボー」「トー」。
英語はTAO/Tambon Administrative Organization。
Tambon(タンボーン)とは、
村(ムバーン)と郡(アンパー)の中間行政単位。

※2 コディ(CODI)
Community Organization Development Instituteのことで、
政府外郭の独立機関で、
タイ1990年前後の民主化運動の流れを受けて制定された、
民主的な「1994年憲法」を背景にできた機関。
地方自治や住民による地域づくりを支援することが目的。

(5)川や森を地域主導でどう管理するか?チェンマイセミナーより_b0125397_1231637.jpg

(チェンマイの会場で展示された、周辺流域の航空写真。
オーボートーとコディがGPSを使って調査した、
山林・森林・河川の利用現状が細かく書き込まれている)
by from_itsuki | 2011-02-09 12:33 | (番外編)アジアの里より