(記事)生活再建、五木村に焦り 国との間に温度差

ニュース裏おもて:生活再建、五木村に焦り 国との間に温度差 /熊本

毎日新聞 2010年11月27日 こちら

 ◇県と村「早く進展示して」
 川辺川ダム計画で40年余りにわたって翻弄(ほんろう)されてき
た五木村の生活再建策が、国土交通省と県、村の3者で話し合われて
いる。県と村は11年度政府予算に再建事業を盛り込むよう求めてい
るが、国交省との間にはまだ温度差がある。村は「早く目に見える進
展を示して」と焦りを募らせる。【取違剛】

 国交省九州地方整備局(九地整)と県、五木村の担当者が今月19
日、村役場に集まった。7月から4回目を数える「五木村の生活再建
を協議する場・通常会議」。ダム計画によって村づくりが制約され、
衰退する五木村を立て直すため国、県が何をすべきか。村が取りまと
めた地元の要望は、国道整備再開や水没予定地の利活用、人口増加策
など、延べ91項目に上った。

 国が川辺川ダム計画を発表したのは1966年。五木村は村を挙げ
て反対したが96年10月、紆余(うよ)曲折を経て同意した。以来、
ダムを前提にした村づくりを進めてきた。しかし08年9月、蒲島郁
夫知事が建設中止を求める考えを表明。09年9月には当時の前原誠
司国交相が建設中止を表明するに至り、村は「ダム計画に振り回され
た」と、憤まんやる方ない思いでいる。

 意見交換の冒頭、和田拓也村長が村の思いを代弁した。「昨年9月、
現地視察に訪れた前原大臣が『ダム中止の代わりに補償法案を提出す
る』と表明したが、それから何も動いていない。それが村民の不満だ」

 五木村再建事業を来年度の政府予算に盛り込むには、遅くとも年内
に大臣らの政治判断が必要になる。しかしその動きが見えず、村のい
ら立ちは募る。県も次回会議に国交省の政務三役が出席するよう求め
たが、九地整側は「要望は伝える」と述べるにとどまった。九地整の
担当者は「要望は多種多様で、実務レベルで優先度やダムとの因果関
係を精査するだけでも相当の作業量だ。もちろん急ぐが」と、再建は
一朝一夕ではいかないことを示唆した。

 川辺川ダムは八ッ場(やんば)ダム(群馬県)と共に、民主党政権
が掲げる「脱ダム」の象徴として注目された。しかし国は「脱ダム」
後の課題にどう取り組むのか目立った進展は見られず、展望が開けな
い。会議後、和田村長は表情をくもらせた。「政務三役を加えた拡大
会議へ向けて、スピード感をもって早くしてほしい。村にとっては今
始まった議論ではない」

 紅葉シーズンの週末、村は行楽客でごった返した。県などによると
観光客数は右肩上がりで、昨年は14万人。5年間で倍増ペースだ。
物産館「道の駅・子守唄の里五木」や温泉センターの売り上げも年々
伸び、にぎわいをみせている。しかし、それと裏腹に人口は最盛期の
60年(6161人)から減少の一途。今年10月末で1353人と
なり、10年後は831人、20年後は582人まで減ると予測され
る。村の再建は1年1年、待ったなしの状況になっている。

 「水没予定地の住民は土地を捨てるしかなかった。ダムができよう
ができまいが、村社会も個人も大きな損失を被った。それが村再建を
考える原点だ」。和田村長は強調した。

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by from_itsuki | 2010-11-28 09:51 | 新聞・メディア報道

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