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瀬目八坂神社に奉納された三十六歌仙。

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(瀬目神社の銀杏)

「麻郡神社私考」(前述)に、瀬目八坂神社のことは「祇園天王」とあります。

瀬目神社は、京都八坂神社の分社なので、
ご神体は、牛頭(ごず)天王(素盞鳴命スサノオノミコト)と思われます。

では、牛頭天王とは誰かと言うと、
インドの釈迦の生誕地にちなむ、祇園精舎の守護神とも言われている神様で、
神道のスサノオとどこかで習合しているので、
つまり神仏習合の神様だそう。Wiki

神社に祀られているけど、
仏教の神様でもあるんですね。

天王という地名は、牛頭天王(祇園神社)にちなむものが多く、
羽田空港から品川へ向かうモノレールで通る、
天王洲アイルの「天王」もこれだそう。

瀬目神社と天王洲アイルがつながってるとは!

・・・しかし、
明治の廃仏毀釈で全国の牛頭天王を祭る神社は
神仏分離させられたそうで、名前も
「感神院祇園社」から「八坂神社」に改められたそう。

よって、明治以降は
中御座「スサノヲノミコト」(素戔嗚尊)
東御座「クシイナダヒメノミコト」(櫛稲田姫命)
西御座「ヤハシラノミコガミ」(八柱御子神)
の3神を祀っているのだそうです。

瀬目神社はどうでしょうか?
またチェックしてみます。


さて、瀬目八坂神社の拝殿の中には、
三十六歌仙の板絵が奉納されています。

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干時(=日付)明治廿有弐年○○○秋八月、
奉 三拾六歌仙
球磨郡五木村字○○○

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その裏(表?)には

自筆
奉三拾六ヶ仙納
池田量廣

とあります。

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明治22年と言えば1889年で、
ざっと120年前。
私から見ると、おじーちゃんのおじーちゃんぐらいの世代(の少し前?)ですかね。

三十六歌仙とは、藤原公任さんが編んだ『三十六人撰』に載っている
36人の歌の名人のことで、
昔から、神社やお寺に三十六歌仙額を奉納する習慣があったそう。

瀬目八坂神社のものも、
池田量廣さんという方が、願いと祈りを込めて、
自分で歌と絵を描かれて、地元の神社に奉納されたものなんですね。
ステキ!

清楽の旦那は池田さんでしたが、その池田家かな?
上の写真も「五木村字清○」と読めなくもない・・・。

続いて板絵を3枚ほど、見てみましょう。
しばし、歌の世界をご紹介。


まずは、よく知られた柿本人麻呂さんです。

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7~8世紀の飛鳥時代の人で、『万葉集』第一の歌人です。
挽歌(死者を悼む歌)もたくさんありますね。
最近、猿丸幻視行という人麻呂の暗号みたいな小説を読んだんですが、
奇遇ですなぁ。

歌が消えていて、判読が厳しいです。
「霧」の字が見えます。

三十六歌仙の絵が、天井絵になっているお寺もあり、
その一つ、秋田市の久城寺の
人麻呂の板絵の写真がネットにありました。

「ほのぼのとあかしの浦のあさぎりに
島がくれゆく舟をしぞおもふ」

訳=ものやわらかな夜明けの明石の浦の朝霧のなかを、島がくれに舟が漕ぎ進んでいく。しみじみと旅情が身にしみることだ。


続いて、藤原仲文さんです。
この人は、人麻呂よりちょっと若くて、平安時代中期の人です。

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先のお寺の藤原仲文の板絵の写真はこちら

「有明の月のひかりを待ほどに
わが世のいたくふけにけるかな」

訳=有明の月が出るのを待っているうちに夜はすっかりふけた。同じように、私もずいぶん齢を経てしまったことであるよ。

(「世のふける」と「齢(よ)がふける」は掛け言葉)


最後に、藤原高光さんです。
こちらも、平安時代中期の歌人です。
時の権力者、藤原家と天皇家の家系でしたが、
後に出家しました。
・・・思うところあってでしょうか?

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「かくばかりへがたく見ゆる世の中に
うらやましくもすめる月かな」

訳=私の生きる世の中はこんなにも辛いことが多いのに、月は憂さもなにもないがごとくに澄みきっている。うらやましいことだ。

この板絵には「うら山しく」と書かれているよう?
なお、「すめる」は「澄む」と「住む」の掛け言葉で、
「うらやましい」も山に隠れる=出家を暗示しているそう。

同じく、久城寺の板絵ではこちら


瀬目八坂神社の板絵は、割れているものや消えかけているものもあり
保存状態は良いとも言えませんでしたが、
素朴な、五木の人の信仰心が垣間見れるような気がしました。

■アクセス(人吉から)
国道445号線を、瀬目公園、瀬目トンネルを抜け、
橋を渡ってすぐの森口商店のから、山手へ右折。
200mほど行くと道が二つの別れるので、右下の道へ曲がる。
(まっすぐ行っても、葛ノ八重集落経由になるがたどり着ける)
瀬目集落に入ってすぐ左手前に、鋭角にUターンするような形で
細く上にのぼる道がある。

国道445号から15~20分ぐらい。
by from_itsuki | 2010-04-11 02:34 | 観光情報・お知らせ

熊本県五木村に関する情報を発信中。


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