尾方茂さんの家で作っているもの


茂さんの家は、五木村頭地の田口地区にある。
「ダム絶対反対」ではなく、今の生活を続けたいだけ。農地を失いたくないだけ。
とってもシンプル。

一世帯での暮らしでは、買物などどんなにか不便でしょう、と訪ねてきた方に言われるらしい。
だけど、実は買物にはそんなに不便していない。
週に二回、家の前に「羽月(はづき)さん」の移動販売車が来る。
アルミの荷台の中には、野菜、茶菓子、ジュース、魚、肉となんでも積まれていて、言わば「小さなスーパーマーケット」。
クリスマスの時には、茂さんのリクエストで、イチゴののったクリスマスケーキも一緒に運んできてくれた。

どのくらい自給自足なのかを、チユキさんに聞いたことがある。
どんな野菜を作っているかを教えてくれ、足りないものは「羽月さん」で買うのだそう。
「全部自給自足だったらどんなに良いか」と笑った。

とは言え、10代の頃から知っているという羽月さんと会うのは、買物だけではない楽しみなのだそう。

 ☆ ☆ ☆ 

尾方さんのことを新聞に取り上げる時、自給自足に近い生活だと書かれることがある。
どのくらい自給自足しているか、一度調べて記録してみたいものだ。

以下、思いつくままに、現状をメモで起こしてみた。

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・味噌・・・自家製。原料も自家栽培。
・しょうゆ・・・昔作っていたが、今は人吉のなじみのお店から仕入れている。
・砂糖・・・買っている。昔戦争中にものがなかった時代、茂さんのお父さんがサトウキビの苗を手に入れてきて、砂糖を作ろうとしたことがあるそう。しかし、液体の砂糖蜜を結晶にする方法が分からず、砂糖は作れなかったそう。
・豆腐・・・買うことも多いが、お盆や地蔵祭り、正月の前などには作ることもある。大豆は自家栽培。
・こんにゃく・・・買うこともあるけど、お盆や地蔵祭り、正月の前などには作る。

・米・・・今食べているものは自家栽培。5年ぐらい前から、久しぶりに米を作ったので、それを食べている。今年は高齢を理由に米づくりはしていない。
・小麦粉・・・自家栽培で自家製粉。うどんにしたり、まんじゅうにしたりする。まんじゅうを作ると、小豆やそば(そばまんじゅうの場合)も自家栽培なので、砂糖以外は自家製のまんじゅうができる。
・大麦・はだか麦・・・数年~十数年前の古い麦を保存している。晴れた日には、虫干しする。
・かたくり粉(もちとり粉)・・・小さなジャガイモをつぶして水にさらし、もちとり粉を作っている。

・野菜・・・ほとんど自家栽培。大豆、小豆、キャベツ、にんじん、だいこん、しょうが、らっきょ、かぼちゃ、にがうり、オクラ、ピーマン、ナス、たまねぎ、ミョウガ、カライモ、ジャガイモ、その他いろいろ。もちとうきび(もちとうもろこし)、ジギューリ、こきび、ジゴナなど、在来種の野菜も作っている。
・山菜など・・・ゼンマイ、ワラビ、ジゴナのつぼみ、カワバクショウ(ハナウドの新芽)、ヤマウド、サド(イタドリ)、タケノコ(ハチク、モウソウダケ、カラタケなど4種)など。
・保存食品・・・味噌(前述)や味噌の加工品(油味噌など)、ノイチゴのジャム、キンカンの甘露煮、柚子の甘露煮、漬物、梅干し、梅酒、干し野菜(干し大根、干しタケノコなど)、サド(イタドリ)の塩漬けなど。
・お茶・・・自家栽培・自家製茶の、釜炒り茶。在来種とヤブキタ種の2種類作っている。

(その他)
・燃料・・・台所はガス。七輪(焼き芋など)や掘りごたつは、自分で焼いた炭を使っている。
・水・・・湧き水→3キロぐらい上流から引いていた渓流水→簡易水道(現在)
・農具・・・農作業に使うマタグワ(股鍬)や下駄作りに使っていた専用のノミ、電動碾き臼(石臼とモーターと鉄の部品を加工)、印鑑を彫っていたキリ、牛を洗っていたブラシなど、尾方さんが作った手作りの農具や工具も多くある。鉄くずや鉄の部品を、自宅の鍛冶場で打って作っていた。尾方さんの父親は川漁をしていたので、自分の家で育てた麻をつむいだ麻糸で作った網や網を編む道具、麻糸なども残っている。

(自家製のまんじゅう。後ろはもちとうきび。2008年7月20日)
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by from_itsuki | 2008-08-13 10:48 | 茂さんちのまわり | Trackback | Comments(0)